あれ?指が変な動きをしてしまう
子どもがピアノを弾いていると、指が足りなくなって変な動きになり止まってしまうことありませんか?
楽しそうならいいかと思ってしまいそうですね。
でも弾きやすければどんな指を使ってもいいわけではありません。ピアノには正しい運指(指の使い方)があることを知っていますか?
そこで、運指って何?という方に向けて、運指について詳しく解説し、具体例をご紹介していきます。
そもそも運指って何?
指にはそれぞれ番号がある
ピアノを弾く醍醐味といえば整然と並んだ鍵盤を両手で奏でること。ですから両手合わせて10本の指で運指を駆使しなければ演奏することはできません。
では、両手の指番号を確認しましょう。親指から小指に向かって1・2・3・4・5と番号がつけられています。鍵盤をどの指番号で弾くかを示したものを運指といいます。ですから、「2番の指で弾いて」とは「人差し指で弾いて」ということになります。
楽譜に番号が書いてある
楽譜には音符の上に番号が書かれている場合があります。どのように弾いたらよいのでしょうか?
この場合は、右手でドは1番の指(親指)ミを3番の指(中指)ソを5番の指(小指)で弾きます。この場合は、123と弾けるとしても135を守って弾きましょう。
指番号は音そのものを表しているわけではないことを解説します。指には親指から小指に向かって1・2・3・4・5と番号がつけられていると説明しましたが、1はド・2はレ…と思い込んで覚えてしまうことがあります。
上の楽譜はエリーゼのためにの冒頭部分です。始まりの音の指番号は5。5であればソのはず!ところが、実際はミの音です。
また、始まりの音はいつも1だと思い込んでいる子どももいます。この楽譜で1を使うとミの後に低い音符が展開されているので、すぐに指が足りなくなってしまいます。
楽譜に書かれている番号と指番号を対応させて弾きますが、きちんと音を読むことを忘れてはいけません。慣れてしまえば、譜読みにかかる時間が早くなります。
楽譜通りに弾きにくい時は?
手が小さいなどの理由で番号通りに弾けない・弾きにくいことがあります。そういう時はどうしたらよいのでしょうか。
結論をいえば、指番号は絶対に守らなければいけないということはありません。とはいえ、単に弾きやすくするのではなく、曲の雰囲気を保つことが重要です。いろいろな運指を試してから決めましょう。具体例については、後ほど解説します。
指番号を守らなくていいといっても、変えない方がよい場合があります。練習すれば何とかなりそうであれば指番号通りにマスターしましょう。弾きにくい音の後に続く音の流れをスムーズに弾くために決められた場合があるからです。
また、絶対に変えてはいけないというものもあります。特定の指の訓練を目的とした練習曲は指番号を守って弾くことが必要になります。自分なりの運指が動かしやすいなと思っても、練習曲では指番号をきちんと守りましょう。
運指は大切!その理由
フレーズを保つため
曲はいくつものフレーズによって作られています。滑らかに弾くフレーズで、ブツブツ切れないように運指を工夫しなければいけません。
フレーズの中で際立たせたい音をあえて1の指を使うことがあります。音に特徴を持たせるという意味で、あえて自然な運指を使わないことがあるのです。
基本的に違う音を同じ指で弾かないのですが、あえて同じ指を使うように指示されていることもあります。フレーズを保つために運指はとても大切です。
速い曲をスムーズに弾くため
速い曲や細かい音符が続く曲は、譜読みの段階から指番号を覚えるくらいに練習しましょう。
楽譜を見ると休むことなく音符が続いていて、離れた音符から1音ずつ降りてくる繰り返しになっています。
いつも違う運指で弾いていると指が絡まって弾くことが難しくなります。決められた指番号で自然に指が動かせるようにまでしっかりと練習しましょう。
運指のパターンは応用できる
運指にはパターンがあります。普段から決められた指番号を守っていると、パターンが自然に理解できるようになります。
この楽譜では、分散和音を245の運指で使われています。これがパターン化されている運指の1つです。
分散和音とは、和音の構成音をバラバラに弾く奏法のことで、アルペジオまたはブロークンコードともいわれます。
例えば、ピアノの先生が指番号が書かれていない楽譜を見てスムーズな運指ができるのは、運指のパターンを応用しているからです。次に基本的な運指をご紹介します。
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右手の運指にチャレンジしてみよう!
まず基本形から
5本の指を揃えてひとつの白鍵に指を 1 本ずつ置く形です。フワッと鍵盤に置いてみましょう。
基本形を下から見るとこんな感じになります。
指変え
指変えは、同じ鍵盤を指を変えて弾く運指です。楽譜を見ると、2の指で弾いた同じ音を1の指に変えるように指示しています。
もう少し複雑になると、同じ音を3種類または4種類の指を使って演奏します。
指変えなんてしなくても同じ指で弾けるのになぜ?と思われるかもしれません。実際に弾けないことはないのですが。
同じ指を使い続けると疲れます。指だけでなく、手首や腕に力が入りすぎてしまうのです。そのために指変えという運指を使います。
指くぐり
指くぐりは、鍵盤を押さえている指の下をくぐらせて音が切れないように弾くための運指です。
この楽譜では、ミを押さえている3の指の下を1の指でくぐらせます。くぐらせる時に音が切れてしまいがち。3の指が鍵盤から離れないように注意しましょう。
指をくぐらせることができると、ピアノの左側から右側へ音が切れずに弾けるようになります。子どもにとっては驚きや喜びにつながります。
指またぎ
指またぎは押さえている指の上を越えて音が切れないように弾くための運指です。
この楽譜では、ファを押さえている1の指を3の指がまたいでミを押さえます。写真のように少し離れた音を押さえることもできます。
指をまたぐことができると、ピアノの右側から左側へ弾けるようなります。指くぐりと指またぎの両方を使ってピアノの鍵盤を往復して弾けるようになりますね。
右手の場合には「指くぐり」は音が上がっていく時で、「指またぎ」は音が下がっていく時の運指になります。音階や分散和音には指くぐりと指またぎの両方を使います。きちんと身につけて美しい音楽を奏でてください。
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最後に
運指を覚えれば、難しいフレーズも弾けるようになります。できないと諦めないで、どうしたら弾けるようになるかなと運指を考えるようにしましょう。丁寧にじっくりと時間をかけてくださいね。楽に弾けるようになるとピアノが楽しくなりますよ。