子供にピアノを習わせるとき、自宅にもピアノを置いて練習させたいと考える人は多いでしょう。ピアノは大きな音が出る楽器なので、しっかりと防音対策をとっておかないと、ご近所とトラブルになってしまうこともあるので、注意が必要です。
今回は自宅のピアノの防音対策方法について解説します。これから自宅にピアノを置こうと考えている人や、すでにピアノを置いている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ピアノは空気音と固体音の対策が必要
ピアノの防音対策をする場合、「空気音」と「固体音」の両方に対策が必要です。
空気音とは、いわゆる普通に聞こえる音のことです。対して固定音とは、楽器を演奏することで生まれる音です。ピアノの場合は鍵盤を叩く振動音ですね。ピアノはこの両方の音への対策が必要なのです。
例えば、壁一面に防音シートを貼った場合、一見防音対策はばっちりに見えますよね。しかし、床にはなんの対策もしていない場合は、ピアノの鍵盤を叩く振動が階下に伝わってしまい、騒音となる場合があります。
つまり、ピアノの騒音対策は壁の他に床も重要なのです。
ピアノの種類によって対策箇所は異なる
一口にピアノの騒音対策と言っても、実はピアノの種類によって、音が出る箇所の性質が異なります。そのためピアノの種類によって、防音対策箇所も異なります。
ピアノは大きく分けて「グランドピアノ」、「アップライトピアノ」、「電子ピアノ」の3つがあります。それぞれの対策箇所と対策方法を見てみましょう。
グランドピアノ
グランドピアノとは、学校の音楽室やコンサート会場などにある、一般的に「ピアノ」と言われて多くの人が想像するピアノです。
グランドピアノはピアノの中でも最も大きいため、音も最も大きいです。グランドピアノは、鍵盤を叩くことで奥にあるハンマーが弦を叩き、その振動をピアノの上部に上げた響板に反響させることで、音を響かせます。つまり、グランドピアノの全体が共鳴体となって音が出ているのです。
そのため、グランドピアノの音の発生源と対策が必要な箇所としては、ピアノ全体と言えます。
グランドピアノの防音対策としては、まず響板(ふた)を開かないことが挙げられます。ふたを上げないだけでも、ある程度の音を抑えることができます。もちろん費用はかからないため、グランドピアノを家で使っている場合は、すぐにでもお試しください。
その他の方法には、ピアノ下部に響き止め板を取り付ける「ピアノマスク」や、ピアノの音を電気信号に変えてヘッドフォンで音を聞けるようにする「消音ユニット」があります。ピアノマスクは約15万円、消音ユニットは約30万円と高額ですが、期待できる防音効果はかなりのもので、壁や床一面に防音シートを貼るよりは、安く済む場合がありす。
アップライトピアノ
アップライトピアノとは、グランドピアノの仕組みはそのままに、形をコンパクトにまとめたものです。グランドピアノよりも大分小さくなるため、一般家庭にも置きやすいことが特徴です。
アップライトピアノの音は、ピアノの箱部分にこもる設計になっていて、音を飛ばす際は演奏者側か、その反対方向に飛ばします。そのため、音が飛ぶ方向を考えて対策をする必要があります。
アップライトピアノの防音対策として、無料でできるものは、「設置位置の変更」と「マフラーペダルの使用」があります。まず、設置位置の変更とは、ピアノの音が飛ぶ方向に、隣家に近い壁がないように設置することです。これだけでもかなりの防音効果が見込めます。
そしてマフラーペダルとは、弦とハンマーの間に薄いフェルトが入っているペダルのことです。フェルトはかなり薄いものですが、音の響きを抑える効果があるため、音量を大幅に下げることができます。
次に有料にはなりますが、消音効果が高い方法としては、「壁・床に防音シートを貼ること」と、「消音ユニットの使用」が挙げられます。防音シートは部屋の広さによって値段が変わりますが、おおよそ15万円程度かかります。
消音ユニットは30万円程度で、ピアノの音を電子化して、ヘッドフォンで聴けるようになります。
電子ピアノ
電子ピアノは、鍵盤はスイッチとして、叩いた感触を電気信号で音へ変換し、ヘッドフォンで聴きます。そのため、元々空気音はなく、対策が必要なのは振動の音、つまり固体音のみです。
部屋のピアノの防音対策
ここでは、全てのピアノに共通する防音対策をご紹介します。
防音ベース・マットを敷く
3種類のピアノの中で、最も静かな電子ピアノでも固定音への対策は必要です。
全てのピアノへの対策を行うのであれば、まずはピアノの下に防音ベースやマットを敷きましょう。防音ベースやマットは各社から発売されていますが、6畳の平均価格は5~7万円程度です。
カーテンは防音カーテンに変える
ピアノの音は壁からも漏れてしまいますが、その中でも「窓」は壁よりも音が漏れやすい傾向にあります。
そのため、窓に取り付けるカーテンを防音効果のあるものに変えることで、音が外に漏れるのをある程度防ぐことができます。
防音素材を天井に貼る
階上にも人が住んでいる場合は、天井の防音対策もしておきましょう。ただし、天井に防音素材を貼る場合、素人には難しい作業です。素人が貼った素材は、落ちてきて、思わぬ怪我の原因になることも。天井の防音対策は、専門の業者に依頼することをおすすめします。
防音カーテンは隙間があるとそこから音が漏れてしまいます。そのため、カーテンと窓の隙間を無くすことが重要です。防音カーテンを購入するのであれば、窓の幅と高さのそれぞれから5~10cmの余裕を持たせることをおすすめします。
音漏れがひどい場合は壁対策もする
ピアノの防音対策は、基本的に床と窓の対策で十分です。しかし、騒音の感じ方は人それぞれで、「これだけしておけば十分だろう」と思っていてもクレームが入る場合もあります。
床と窓の防音対策をしたのにも関わらず、音漏れがひどいと感じたのであれば、壁に防音シートと一面に貼るなどの対策も行いましょう。
ピアノの音は周囲への配慮も重要
ピアノの防音対策は、自分の家に行うだけではなく、周囲に配慮することも重要です。
挨拶はきちんとする
ピアノを弾いている、いないに関わらず、周囲へ住む人への挨拶は大切です。
ピアノを家で弾く場合は、マンション・戸建てに限らず、周囲への家へ、ピアノを弾くことがあることを挨拶しておきましょう。
非常識な時間に練習しない
こちらもピアノに限った話ではありませんが、どれだけ防音対策をしたとしても、音が響きやすい早朝や深夜など、非常識な時間の練習は周りに迷惑をかけてしまいます。
夜は10時以降、朝は7時までを目安に、非常識な時間帯には練習しないようにしましょう。
まとめ
ピアノは大きな音が出る楽器なので、防音対策は必須と言えます。そしてピアノの種類によって、防音対策は異なるので、お手持ち、あるいは購入予定のピアノの種類に合わせた防音対策を行いましょう。
防音対策は、部屋を改造するだけではなく、周囲に住む人にピアノを弾くことがあると許可を得ておくことも重要です。周囲に住む人に、ピアノで迷惑をかけないように注意しましょう。