子どものピアノにはメトロノームは必要?
チーン・カチ・カチ…と鳴るメトロノーム。電子ピアノやキーボードに内臓されていることが多いです。ピアノを習ったことがある人はメトロノームに合わせて弾いた経験とともに演奏とのズレを感じたことがあるのではないでしょうか。
メトロノームは何のためにあるのでしょうか。そもそも子どものピアノに必要なものでしょうか。
そこで今回は、子どものためのメトロノームを使った効果的なピアノの練習法をご紹介します。メトロノームを適切な時期に使うことで上達しますので、ぜひ参考にしてください。
ピアノで使うメトロノームって何?
メトロノームの始まり
メトロノームがなかった時代には「人間の脈拍は1分間に80回」を基準に2倍速い・2倍遅いという考え方がありました。音楽の拍を人の脈拍と関連づけていたのです。
メトロノームはディートリッヒ・ヴィンケルが作った原型をもとにしてメルツェルが改良して1816年に特許を取得しました。200年以上前からメトロノームといえば、ねじを巻くタイプのものをさしています。
最初にメトロノームを使用した作曲家はベートーヴェン。耳が悪かったベートーヴェンにとって目に見えるテンポは便利だったことでしょう。その後、チェルニーなどによってピアノの練習曲にテンポ表示がされるようになっていきました。
メトロノームと速度記号
楽譜の左上にはテンポに関する記号が記されています。例えばこの楽譜には、Allegroと♩=176とされています。
Allegro(アレグロまたはアッレグロ)は「快活に速く」という意味です。快活に速くとは具体的にどのくらいの速さかというと、♩=176なのです。つまり1分間に♩が176回刻む速さになります。
この数字だけで、わかった!という人は少ないはず。
♩=60は1分間に♩が60回ですから、時計の秒針と同じ速さですね。その3倍くらいの速さといえば、何となくわかるでしょうか。そこで、正確なテンポを教えてくれるのがメトロノームなのです。
メトロノームの設定(振り子式)
先ほどのように「♩=数字」で示されているものをメトロノーム記号といいます。これを振り子式メトロノームで鳴らす設定の仕方を説明します。
振り子についているおもりを上下に移動させて表示板の数字に合わせてテンポを設定します。上にずらすと遅くなり、下にずらすと速いテンポになります。
設定はとても簡単なので子どもでもできますね。設定したら振り子を揺らすとテンポ通りに音が鳴ります。ねじが付いていますから、使う前に巻いておくことも忘れずに。
ピアノのメトロノームは何のため?
テンポを確認する
楽譜に記されているテンポがどのような速さなのかをメトロノームで確認します。いきなりこのテンポで弾くのではなく、曲の仕上がりを目指すテンポだと知っておきましょう。
曲にはそれぞれ独自のテンポがあって、作曲家が曲にふさわしいテンポで弾いてほしいという思いが込められています。演奏者によってテンポの違いが起きないように、あらかじめテンポが指示されているわけなのです。
一定のテンポを保つ
子どもにとって難しいのが一定のテンポを保って演奏すること。段々速くなったり、ガクンと遅くなったりと弾いている間にテンポが変わってしまうことがあります。そもそも弾き始めにテンポを意識しないで弾いている場合もあります。
ピアノの上達には楽譜の通りに弾くことが大事です。そのためには一定のテンポを保って弾けるようにしなければいけません。一定のテンポを保つことができたら、作曲家の意図したテンポに少しずつ近づけるようにしていくことが望ましいです。
正しいリズムを打つ
子どもは音符を長い・短い、速い・遅いといった感覚で捉えることがあり、これでは音符の長さを正確に弾くことができません。リズムを弾き分けるために、メトロノームを使った練習が役に立ちます。
メトロノームに合わせて正しいリズムを打つためには、拍が合っているかどうか、同じ強さで打つことができるかを確認しましょう。リズムが乱れたり利き手でない手は音が弱くなることがあります。
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メトロノームを使った効果的なピアノ練習法
片手ずつ弾けたらメトロノームに合わせる
まず音符とリズムを楽譜の通りに弾けたら、弾ける速さでメトロノームに合わせます。両手の前に片手ずつメトロノームに合わせておくと余裕をもってメトロノームの音を聴くことができます。
両手で通せたらメトロノームに合わせる
両手では、スタッカートやアクセントなどの楽譜の指示を守って弾きましょう。それができたらメトロノームに合わせます。
一定のテンポで弾けるようになったら強弱などをつけて徐々にテンポを上げて安定感のあるテンポで弾けるよう仕上げていきましょう。
メトロノームに合わない時は
メトロノームに合わないのは、音符や休符の長さの見逃しや弾きにくい部分があるから。弾けているつもりでも弾きやすい箇所は速くなり弾きにくい箇所は遅くなりがちだからです。
どうしてもメトロノームに合わない時は、いったんメトロノームを使うのをやめて片手練習をしてから両手練習に入りましょう。
ピアノの上達は繰り返しの練習から
ピアノの上達には、繰り返し練習することが必要です。練習にはメトロノームを取り入れて一定のテンポで弾けることを目指しましょう。
曲を仕上げていくにはテンポ以外に強弱や抑揚などの演奏の仕方を身につけて豊かな表現が求められます。家庭で模範演奏を観たり聴いたりすることも大事ですが、それをどのように子どものピアノに反映させるかは難しいですよね。
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最後に
メトロノームに合わないとイライラしますよね。ズレたことに気づくことも音楽の耳を使っている証。どうしてズレるのか考えられるようになることが上達の第一歩です。
メトロノームはいつもいつも使う必要はありません。テンポ感やリズム感を育てるツールなので効果的に使っておうちでの練習を充実させてください。弾けたよ!という笑顔が見られると嬉しいですね。